2)まず視覚案内について、70才を越えると多くの高齢者の視力が0.5程度に落ちることは、先に述べたとおりである。 3)人口の多くを占める高齢者に対して、利用者一般を対象とした視覚案内と別に案内様式を体系立てることは現実的ではないから、1)a.及びb.による利用者一般を対象とした視覚案内システムの視力設定を、高齢者も含める条件として考え直す必要がある。 4)視覚案内の必要度が高い情報内容は次のように整理できる。 a.昇降設備がどこにあるのかを案内すること[案内情報] b.昇降設備まで的確に誘導すること[誘導情報] c.昇降設備の所在場所で、その位置を告知すること[位置情報] 5)上記3種の具体的な内容は、前項(車イス使用者の項)で検討した留意点と同様である 6)視覚案内の表現方法における留意点は、次のように整理できる。 a.大きな文字を使用する。 b.わかりやすいピクトグラフを活用する。 c.図と地の色彩対比を明確にする。 d.黄色と白、青と黒の色彩組合せを避ける。 e.表示面を充分に明るくする。 f.表示面のグレア(まぶしさ)を避ける。 7)高齢者に難聴者が多いことを勘案すると、視覚案内システムには音声案内を併用しないでも成立する完成度が求められる。 8)次に音声案内について、使用者は量的に限られることを前提としても、自発的な情報選択より受動的な指示を望みがちな高齢者の傾向に照らすと、簡潔に左右の方向指示を放送する視覚障害者を対象とした音声案内を、この層のニーズに対応させる方策が考えられる。 9)音声案内の情報内容や伝達方法は第1項(視覚障害者1級レベルの項)に整理したとおりで、 a.天井付音声案内 b.壁面付音声案内 c.情報ポスト付音声案内 などが考えられる。 2. 環境整備上の留意点 1)高齢者に対応する環境整備上の課題のうち空間的な配慮として、 a.段差を解消すること。 b.昇降設備を設けて、身体的な上り下りをしないでもすむ移動経路を確保すること。 c.できるだけ短い移動経路を確保すること。 d.できるだけ開放的な視界を確保すること。 などが指摘できる。 2)この利点や方策は、前項(車イス使用者の項)で述べたとおりである。
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